またまた関係ないけど中卒フリーターと親子3代文学者 芥川賞の2人は対照的
スポーツ報知 1月18日(火)8時1分配信
第144回芥川、直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が17日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞は朝吹真理子さん(26)の「きことわ」と西村賢太さん(43)の「苦役列車」、直木賞は木内昇さん(43)の「漂砂(ひょうさ)のうたう」と道尾秀介さん(35)の「月と蟹」に決まった。芥川賞を受賞した西村さんは中学卒業後、フリーターなどをしながら執筆。親子2代で逮捕歴を持つという異色の新人だ。両賞そろって2人の受賞者が出たのは2004年以来7年ぶり。
芥川賞は、「美女と野獣」の同時受賞となった。中学卒業後に家庭を飛び出し、肉体労働、貧困生活、暴行傷害での逮捕歴…。自らの経験をベースに壮絶な私小説だけを書いてきた西村さんは、自宅で受賞の知らせを聞いたという。会見場では「そろそろ風俗に行こうかな、と思ったところで(受賞を)聞いた。行かなくてよかったです」と爆笑を誘った。
受賞作「苦役列車」の主人公は19歳の少年。中学卒業後に家庭を出て、日雇い労働をしながら貧困生活を送る。無為な日々は友人が出来て変わるが、人間関係でトラブルを起こしてしまう…。描いた社会の底辺は、自身の体験に基づいている。「8割は自分に起こった出来事。バカの一つ覚えみたいに自分のことしか書けないんです」
11歳の時、運送業を営んでいた父が事件を起こし逮捕された。自身も2度逮捕された経験がある。親子2代の破天荒な生き方は、まだ小説化していない部分もある。「父がまだ生きてるんですよ。死ねば自分の生い立ちも書けるんですが。小説を書くために和解することはありません」と話した。
一方の朝吹さんは、祖父の三吉さん(故人)と父・亮二さんが2代続けてフランス文学者。大叔母はサガンの翻訳で知られる故・朝吹登水子さんだ。自身は慶大大学院で近世歌舞伎を研究している。
3作目の小説で受賞作となった「きことわ」は神奈川・葉山の別荘地が舞台。2人の女性の夢とうつつ、少女時代の記憶と現在とが絡まり合う不思議な物語だ。会場では西村さんと対照的に、エレガントに黒いドレスをまとって登場。昨年、デビュー作でドゥマゴ文学賞に最年少で選ばれた26歳の新星は、「小説はうそを構築しながら言葉によって“小包”を作るが、中に入っているのは“あなた”へのラブレター」と話した。
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