クウシンサイで除塩
=被災の田で効果検証―岐阜の農業高、新用途も
時事通信 6月30日(土)5時26分配信
塩分を吸着する効果を持つクウシンサイを東日本大震災の津波で冠水した水田に植え、除塩に役立つか調べる取り組みを、岐阜県立恵那農業高校が進めている。炒め物が中心のクウシンサイの新たな活用法も調べ、被災農家の収入源にできないか検討するという。
実験の舞台は仙台市宮城野区の「鈴木有機農園」など。同農園は海水をかぶり、乾燥後も塩分が残った水田に井戸水を入れ、塩分を薄める取り組みをしている。来月6~8日に3年生7人が農園を訪れて苗を植え、8月下旬にも再訪し、収穫して塩分吸収の度合いを測る予定だ。
クウシンサイは水分の多い土を好む。気温が高い夏なら1カ月ほどで成長し、根から約10センチほどを残せば何度でも収穫できるという。同校が昨年、同じ農園で行った調査では、約3キロのクウシンサイが24.6グラムの塩分を吸着した。その後の実験で、濃度1.5%の塩水で栽培すると、真水での栽培より1割以上大きく成長することも判明。今回は1.5%の塩水に2週間漬けた苗を使う。
同校は2、3年の「環境科学」の授業の一環として、2004年からダムや川の水質浄化に取り組んできた。カンボジアでも研修し、塩分を含む湖周辺で栽培されていたクウシンサイに着目。10年に塩分が多いとされる堀川(名古屋市)で同様の調査を行った。
これまでは、炒め物に入れるなど用途が限られていたが、生徒らは根に近い堅い部分を粉にし、お茶にしたり和菓子の原料にしてみた。やや甘みがあるといい、農家に紹介したい考えだ。
森本達雄教諭(47)は「被災地での除塩効果は未知数だが、塩水をかぶった農地でも栽培できるクウシンサイで、農家の方に(復興の)きっかけをつかんでもらえれば」と話している。
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