希少種チョウ絶滅危機 思わぬ「天敵」はシカ
神戸新聞NEXT 8月30日(日)11時0分配信
【ウスイロヒョウモンモドキ 花全滅、羽化しても蜜吸えず】
国内では中国山地でしか見られないチョウ「ウスイロヒョウモンモドキ」が限りなく絶滅に近い状態になっている。兵庫県内唯一の生息地、ハチ高原の高丸山(養父市-香美町)で保護団体が毎年調査を実施しているが、今年確認できた個体はゼロ。蜜を吸う花をシカが食べ尽くしているのが原因とみられるといい、関係者らは思わぬ“外敵”に頭を悩ませている。(中西大二)
ウスイロヒョウモンモドキは幅約3センチ(羽を広げた時)のチョウで、環境省レッドリストの絶滅危惧1類に選定。日本チョウ類保全協会(東京)によると、兵庫、鳥取、岡山の中国山地周辺の数カ所しか見られない。
いずれの生息地も草原の減少による個体数減に直面し、兵庫では2004年に養父市の地元住民や愛好家らが守る会を結成。草原の草刈りをしたり、幼虫の食草となるオミナエシの苗を植えたりするなどの保全活動や観察会を開いてきた。
毎年、羽化期の7月上旬には一定のルートで目視による個体数の調査を実施。06年には154匹を確認した。一帯の発生個体数は5千匹まで増えていると推測され、活動の効果が出始めていた。
ところが、12年から一気に減り始めた。そのころから周辺で目撃されるようになったのがシカ。オミナエシやオカトラノオ、オオバギボウシなどの花穂や芽を食いちぎった跡が目立ち始め、チョウが羽化しても蜜が吸える花が全くない状態となった。昨年は調査で確認できなかったものの保全活動の際に何匹か見つかったが、今年はついに1匹も見つけることができなかった。
兵庫ウスイロヒョウモンモドキを守る会事務局長の近藤伸一さん(70)=朝来市=は「チョウが蜜を求めて生息地を離れ、オミナエシがない環境まで飛んでいく。そこでは産卵できず、死に絶えてしまう」と分析。「生息地をシカから守る柵の設置が急務。維持・管理をどう担うかなど長期的な対策を考えたい」としている。
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