<温室ガス>削減義務化見送りへ COP21、合意形成優先
毎日新聞 10月15日(木)9時40分配信
11月末からパリで開かれる国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で合意を目指す地球温暖化対策の新枠組みで、各国が掲げる2020年以降の温室効果ガス削減目標について、達成の義務化が見送られる見通しとなった。議長国フランスと日本の交渉筋がそれぞれ取材に明らかにした。新枠組みでは途上国も含めたすべての国の参加を目指しており、各国の利害に配慮し、厳しいルールよりも合意を優先させる狙いがあるとみられる。
削減義務化ができなくても、欧州連合(EU)などは、達成状況の定期的なチェックの義務付けを主張。19日からドイツで始まるCOP21の準備会合で議論される見通しだが、目標の形骸化が懸念される。
1997年に採択された京都議定書は先進国の削減目標を国際交渉で決め、達成できなかった場合の罰則を定めた。途上国は目標を課せられず、米国は実効性に疑問があるとして離脱。その結果、現在の排出量トップ3の中国、米国、インドは削減義務を負っていなかった。
新枠組みは、すべての国が参加し、各国が自主的に削減目標を決める。今月1日の期限までに、世界全体の二酸化炭素(CO2)排出量の9割近くを占める147カ国・地域が国連に目標を提出した。
一方、自主的に掲げた削減目標の達成を義務付けるかどうかについては意見が分かれてきた。温暖化対策に積極的なEUや海面上昇に直面している南太平洋の島しょ国などは義務化を主張。
経済成長が著しい中国、インドなどは「他国が干渉すべきでない」と反対。米国も批准に必要な議会承認が難しいことなどから消極的で、日本も「目標の提出と実施状況の報告を義務付けるだけで十分」との立場だ。
仏交渉筋は取材に「フランスとしては強い拘束力がある合意を求めるが、(議長国として)全ての国の妥協点を見つける必要がある。合意は各国議会の承認が必要で、大きな制約だ」として、義務化は困難との見方を示した。日本の交渉筋も「達成状況などを見て取り組みを強化していく長期的な視点こそ大切」と述べた。【八田浩輔、渡辺諒】
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